アーティスト情報

今さらだけど、2013年のテナー武道館公演(ベスト盤の付録DVD)について語ろう

今回のお話は、私をライブに行かないと生きていけない体にした(?)影響度トップクラスのストレイテナーについてのお話です。

私が参加したストレイテナーのワンマンから3マンまでのライブを集計したところ39回行っていました。
これにフェスが加わりますので50~60回くらいライブを見ているのではないでしょうか。
330回の内の6回に1回はテナーのライブを見ている私が今でもすごい作品だと思っているのが今回お話をさせていただく『21ST CENTURY ROCK BAND (10th Anniversary Edition盤)』です。

この作品は限定版ですから現在では新品を購入することはかなり難しいですが、
それでも、この作品が欲しくなるようなことをこの後書いていきます。

性格が悪いと思われるかもしれませんが、この作品がストレイテナーにとってただのベスト盤ではないことを話さないと私の気が済みません←
むしろ、こういう話をしたくこういうサイトを立ち上げたと言っても過言ではありません。

お手持ちの方は、これからの話にぜひ共感いただきDVDの再生ボタンを押していただけたらと思います。

基本的な話から

ストレイテナーって?

1998年に結成されたバンドで、2018年に結成20周年を迎えました。
メジャーデビューしたのは2003年発売の「TRAVELING GARGOYLE」です。
もちろん今回のベスト盤にも収録されています。
メジャーデビューした時のメンバーは、ホリエアツシ(ボーカル/ギター/キーボード)とナカヤマシンペイ(ドラム/コーラス)の2名でした。そこから2004年に『ひなっち』こと日向秀和(ベース)、2008年に『OJ』こと大山純(ギター/コーラス)が加入し現在は4名のバンドです。

ひなっちのコーラスとか、OJのハーモニカとか色々あるけど今回はこのくらいで。
いつかは書きたいと思います。

ベスト盤は2枚ある(3枚という考え方もある)

今回お話しするのは、2013年に発売されたアルバム『21ST CENTURY ROCK BAND』の話です。メジャーデビュー10周年ってことで発売されました。

その後、2018年の結成20周年の時は『BEST of U -side DAY-』『BEST of U -side NIGHT-』が2枚同時に発売されました。こちらは、ファン投票で選ばれた25曲とメンバーそれぞれがセレクトした4曲と新曲1曲の計30曲が2枚に分かれて発売しました。初回盤には30曲全部の過去のライブ映像からベストアクトを選んだ映像が付いてきます。
これはこれで過去のライブ映像作品からのベストがチョイスされているのでとても楽しい作品です。
特に「Braver」はRUSH BALL 2018(テナーは9月1日のメインステージのオオトリで出演)の映像が使われており、2018年10月17日に発売されるまでの編集の短さが印象的です。スタッフの皆様ありがとうございます。

 

この2作品の中間で発売され、ユニバーサルミュージックさんが商品説明で

屈指のライブバンドが放つ、オールタイム・ベスト選曲の初ライブアルバム!
参考:『Behind The Tokyo』商品紹介

という書き方をして2015年8月に発売したのが『Behind The Tokyo』です。
テナーの活動サイクルに「アルバム発売」→「レコ発ツアー」→「ツアー映像作品発売」という流れが多いのですが、2014年に発売した『Behind The Scene』を引っ提げてのツアーは最終的には『Behind The Tokyo』というライブアルバムになり映像作品はありませんでした。この作品の収録曲は2枚組で全35曲ですが、収録が行われた豊洲PIT公演2daysでは、『Behind The Scene』のアルバム曲のほぼ全て+Man-like Creatures、From Noon Till Dawn以外は被りがなく2日間で38種類の曲を演奏しています。そのため、メロストやKILLER TUNEもどちらかにしか演奏しなかったライブでした。

ちなみにこれAmazon Prime Musicで聞けてしまいますので気になる方はこちらから↓

 

 

さて、次からやっと本題です。

2013年のベストアルバムは何がすごいのか

2020年の今、後発のベストアルバムがあるのに7年前のアルバムを語る理由をひとつずつピックアップしていきます。

CDについて

ストレイテナー、メジャーデビュー後初のベストアルバムということで18曲が入っています。インディーズ時代のROCKSTEADYから2012年10月発売のFrom Noon Till Dawnまでのシングル以外の曲も数曲入ったものです。

BERSERKER TUNEはシングル曲ですがこの中には入っていませんが、2011年発売の『STOUT』で新しく生まれ変わっているのでベスト盤としてどちらをいれるか難しい楽曲だと思われます。

2015年発売の『Behind The Tokyo』が発売されるまでの間、テナー初心者に1枚目としてお勧めするアルバムとしての価値は揺るがないものだったかと思います。

2枚目のチョイスは個人差がありそうですが。

限定盤のDVDについて

一番最初にも書きましたが、この『21ST CENTURY ROCK BAND 』には所謂「通常版」と「限定版」が存在するのですが、DVDは限定盤にしか付きません。

そして、そのDVDこそに今回たくさんお話したい内容が含まれているのです。

ベストアルバムのおまけなのが信じがたい

アルバム1枚の価格は3000円というイメージが強いように思います。
今回のベスト盤の「通常版」もそのくらいです。
では、「限定版」がいくらかだったかというと6000円くらいであり『10th Anniversary Edition』を掲げる作品としてはどちらかというと割安?くらいのイメージです。

ちなみにDVD以外に「豪華ブックレット(オールカラー64P)」が入ってきますので、DVDの価格設定としては残額の1500~2000円くらいの割り当てになるでしょうか。

ですが、もう少し商品説明を読み解いていきます。

★10th Anniversary Edition [CD+2DVD]
参考:『21st CENTURY ROCK BAND』商品紹介

残りの予算で2DVDが入ってきます。
通常版の値段が提示されており、CDの内容に変わりはないため差額で、豪華ブックレットと2DVDを組み込んできたのです。

私は思いました、「商売下手なのかな…?」と、
でも、もしかしたら嫌なやり方ですが、1枚のDVDに5曲ずつしか入ってないとかそういうことなのかもしれない。むしろ、そうであってくれたほうが普通だ、と祈りにも似た気持ちがありましたが、発表された内容はまさに驚愕でした。

『本編』を超えてしまったサービス精神

この作品を持っている人ならば、『21ST CENTURY ROCK BAND 』をベストアルバムとしてのCD作品ではなく、映像作品としてのDVD作品だと言い切る方がいてもおかしくないと思います。

なぜならば、私がそう思っている一人だからです。
数々のCD、DVDを購入してきた私でさえそう思うほどに魅力的な作品でした。

DVDの内容は、3時間を越える日本武道館LIVEを完全収録というものでした。

まさに、ベストアルバムとしてのCDのインパクト超える内容だったのです。

ワンマンライブ「21st CENTURY ROCK BAND」とは

さて、ついにDVDに収録されたライブに関して話をするブロックへと入ってきました。

先に前振りを入れますと、私自身は素人なので、アーティストがライブ映像作品を出す意味というのは本当の意味では分かりませんが、アーティストにとって記念すべきイベントを映像化することは多いと思います。

テナーも2009年5月に行った初めての日本武道館公演然り、初の47都道府県ツアー&初幕張メッセを行った2007年の『LINEAR MOTOR CITY』など記念すべきライブが映像作品化されてきましたが今回は違いました。あくまでもCDの形態違い。1つの映像作品として売り出すことはありませんでした。

では、テナーにとって2回目の日本武道館はバンドにとって軽視できるような日だったのか。答えは否。ましてや、1回目の武道館よりも意味合いを増していたのではないかとさえ思っています。

理由は2つあります。10周年記念プロジェクトの1つに位置付けられていたこと、そして、アルバムのレコ発ツアーの延長ではないが故のセトリに関するイベントがあったことです。

ファン感謝祭

2012年に、2013年2月に2回目となる日本武道館公演を行うとのアナウンスが流れ、先ほど話したセトリに関してのイベントも発表されました。

当日のセトリは「ファンが選んだ上位30曲を演奏する」というものでした。
そして、このイベントによりいくつかの奇跡が起きることになるのです。

もちろん、どの曲をやるのかは当日までのお楽しみだった訳ですが、「中間報告」を行ったことにより演奏曲に変動があったことは言うまでもありません。

また、このイベント準備が忙しかったのか、はたまた、ファンのテナー欲を渇望させるためかは分かりませんが、COUNTDOWN JAPAN 12/13は珍しく欠場(ナッシングスは出場していましたが)。
そうは言っても2012年11月にはBRAND NEW EVERYTHING TOURを回っていたし、それなりに露出はしていましたが、やはり武道館特有の緊張感はあったと思います。

OJが撮影した”Fessy”の時の虹。1回目の武道館でも虹が出ていた。

ライブ当日、2月の冬晴れの日でした。テナーにしては晴れていた。という印象の日。寒さに関しては忘れましたが、1回目の武道館は雨が降って虹が出て、みたいなドラマチックな野外演出がありましたがこの日は特にありませんでした。

先に言ってしまうと、このライブは全部で31曲を演奏し、宴は3時間続きました。

この3時間が長いのか短いのかは、それぞれ思うところがあると思いますが、3時間という時間をもってしても非常に濃い時間でした。

そして、一言で表すならば『ファン感謝祭』。
ストレイテナーによる、10年間もしくはそれ以上に積み重ねられたファンへの感謝の気持ちと、ファンが選んだ楽曲をファンのために演奏した3時間になりました。(この辺りはホリエさんからのMCでも語られています。)

ここまで考えると、この作品の値段というのもテナーのファンサービスの一環だったのかもしれません。

DVD(ライブ)の見どころ

もう一段深い内容に踏み込んでいきたいと思います。
そして、ここからはネタバレを多く含んでいるためご注意ください。

収録時間

先ほど話したようにこの日のライブは3時間を超えました。
それに対して今回の話題の中心となっているDVDの長さは2時間50分ほど。

作品紹介である3時間を越える日本武道館LIVEを完全収録というのは間違った表現ではありません。

ちなみに、誤差10分は本編とアンコールの間のクールダウンの時間と考えて差し支えありません。なぜなら、このDVDには途中のMCがカットされることなく全部位入りの状態です。そう、MCでさえ完全収録なのです。

代打の話やら、八百長の話やら(よく事務所OKしたな笑)、「ライン入れますか?」の話だったり、今回のセトリに対して「帰れま10だったら絶対俺ら帰れないよ」との自虐だったり。

最近のテナーは演奏中のピシッとした空気と漫談タイムががっつり設けられていたりしますがこの頃からいよいよMCが長くなってきたと思います。

普段は聞けないレア曲がチラホラ

今回のセトリはファン投票によるものでしたが、期間中に何度でも投票できるシステム(1日1回3曲まで)でした。2018年発売のベスト盤は一人1回だったことを考えるとこの時に痛い思いをしたからじゃないかと勝手に推測していました。

と、いうのも個人のIDを設定して投票するわけでもないので同じ人がスマホ、PCからの投票も可能であり、さらに言うとブラウザを変えても投票できてしまうわけです。そんな結果、組織票が行われた曲が「GUNSHIPRIDER」でした。(中間報告Ustreamでシンペイさんがコメントを読み上げちゃったやつ)。まぁ結果論から言うとめちゃめちゃかっこいいですよ、4人での「GUNSHIPRIDER」。あとズルいなって思ったのは「KILLER TUNE」の後に演奏したこと。「KILLER TUNE」の後に演奏したら通常の1.2倍増しにかっこよく見えるじゃないですか。でも、カオスなブロックでした。

そして、次に話題に出したいのが、「LEAP IN THE DARK」。これに関しては、演奏前のMCでホリエさんが、「この企画がなかったら、多分1回も演奏しなかった曲」とまで言ってしまう曲。ライブでの再現性が難しいということなのでしょうか。ライブバンドとしての異名を持つテナーにしては珍しく2011年に発売以来一度もライブで演奏されることが無かった曲です。LONG WAY TO NOWHERE TOURの時は会場BGMの1曲としてCD音源が流されるということも行われていました。
それほどに貴重な曲、聞きたい曲ということで納得のランクインです。

また、「星の夢」が入ってくるのもこの時期のセトリだったからでしょう。シングル「From Noon Till Dawn」のカップリングでしたが直前のツアーでも披露され、また聞きたいという気持ちが高まったものと思われます。ちなみに、このシングルには「BRAND NEW EVERYTHING」も入っていますが、この3曲が全く別のベクトルを指す3曲なのでシングルの構成としては好きです。はい。

From Noon Till Dawn」に関しては、田中邦和さんとSOIL&”PIMP”SESSIONSのタブゾンビさんが加わった”パーフェクトver.”は2012年のツアーで対バン時に唯一聞くことができた幻の曲です。しかも、この日本武道館公演後も2014年のライジングサン以来お披露目されていないのではないでしょうか。

ということで貴重なライブ映像はこちらから。ソイピンから元晴さんまで加わっているため”パーフェクトver.”を超えています。

From Noon Till Dawn 2013.2.17 Live at 日本武道館 '21st CENTURY...

武道館当日は、演奏前にセッションのようにメンバーが追加されていったのも粋な演出でした。

楽曲に関して触れるべき、触れなければならない曲の最後は「SAD AND BEAUTIFUL WORLD」です。堂々のファン投票1位の曲で、2005年発売のアルバム「TITLE」の1曲目ですがこのアルバムからファンになった人は多いはずです。ですが、ライブ当日は今まで誰も聞いたことのないアレンジで披露されました(個人的には”1位アレンジ”と呼んでいます)。このアレンジが後のライブでの主流になり、2017年に発売されたトリビュートアルバム「PAUSE」にてセルフカバーという形で最期を飾っています。このアレンジを聞くと「STOUT 2」を作って欲しくなります。
また、このリアレンジは後に発売された「冬の太陽」と曲の構成が似ていると思っています。「SAD AND BEAUTIFUL WORLD」のDNAが受け継がれたストレイテナーらしい曲です。

ストレイテナー「SAD AND BEAUTIFUL WORLD」Recording Clip

ストレイテナー - 冬の太陽 (Dir:須永秀明)

当日のセトリでエモいところを語る

ライブ当日は面白いMCがたくさん飛び出しました。
どこで一呼吸入れるか、もっといえばどんな並び順のどんなブロックを構築していくかも一つの見どころでした。

MCが入ったところで分けながら見ていきたいと思います。

第1ブロック

SE MPLS Rock and Roll
1 TRAVELING GARGOYLE
2 Ark
3 星の夢
MC:「席があるからって縮こまってたら、もったいねえぞ」など

いつものSEからメジャーデビュー曲「TRAVELING GARGOYLE」で始まりました。1曲目だったこともあり、ファンの”Oiコール”はやや小さいものの一発目からちゃんと入ってます。ホリエさんの歌いだしと被る人もいつも通りいましたが笑

その後の「Ark」は2009年の武道館でも2曲目でこの頃は割と前半に配置されている曲でしたが、「星の夢」がランクインしたことも含めて驚きでした。

Dosh - MPLS Rock and Roll

第2ブロック

4 LEAP IN THE DARK
5 Discography
6 Toneless Twilight
7 Man-like Creatures
8 KILLER TUNE
9 GUNSHIPRIDER
MC:「おまえらがどうしてもっていうから、ホリエアツシが真空突き抜けてやったぜ」など

第1ブロックのMCにて、先ほども触れましたがこの企画が無ければやらなかったと前フリをしてからの「LEAP IN THE DARK」。これは、早めに片付けておきたかったのではないかと勘繰ってしまいます。その直後の「Discography」~「KILLER TUNE」はライブ定番曲となっていたこともあり、Man-likeからキラーチューンへの繋ぎはこの頃お決まりでしたが、「GUNSHIPRIDER」がその次に待っているのはサプライズでした。

武道館のボルテージはこのブロックで一気に加速し、ファンの緊張感はなくなっていました。

第3ブロック

10 WHITE ROOM BLACK STAR
11 COLD SLEEP
12 Farewell Dear Deadman
13 Lightning
14 シンクロ
MC:「ベテラン選手の代打の打席」、「ライン入れますか?」など
(シンペイさんが次曲のきっかけが自分だということを忘れ長くなる)

MCを挟んだもののイントロで一気に会場の雰囲気を変えたのが「WHITE ROOM BLACK STAR」久々に聞くファンも多かったかと思います。以前は良くやっていたが、新曲が増えるにつれて影を潜ひそめた曲というのは当然増えていきます。ですが、ファンが選んだ曲ということもあり、昔の曲にスポットが当たることとなったライブです。そのあたりを「COLD SLEEP」が選ばれたことで感じる方もいたかと思います。
そこから、だんだんとペースを落とすかのように鍵盤曲へとシフトしていきます。この時のテナーは立ち位置が台形(OJがシンペイさんのすぐ横)ということもあり、シンセがどっしりと真ん中に構えている布陣でしたが、鍵盤メインの曲が大半を占めているわけでもないのに…。そのあたりがテナーらしさを感じさせます。

シンクロ」でしっとりとさせた後に、曲で会場を盛り上げるわけではなくMCで会場を盛り上げるお笑い芸人のような集団ですがこの日はひなっちにマイクが置かれていなかったため、ほぼホリエさんとシンペイさんの二人による掛け合いでした。

そこにしびれを切らしたOJからの絶妙なツッコミが入りライブが再開されます。

第4ブロック

15 The Novemberist
16 Sunny Suicide
17 ETERNAL
18 Dive
19 SAD AND BEAUTIFUL WORLD
20 AGAINST THE WALL

このブロックのスタートがシンペイさんのきっかけ忘れによる「The Novemberist」だったわけですが、このブロックでこの日の半分を迎えます。
ETERNAL」はサビ前に日本語の歌詞が入るようになりました。

また昇る太陽に 戻る最初に
足跡つけながら歩いてきたんだ
また廻り会うように
告げる最後に
傷跡は消えないから忘れないさ

ETERNALの意味やメジャーデビュー10周年を迎えたテナーだからこそ言えるようになった歌詞にも思えます。

その後に「Dive」という超レア曲を間に挟み、ホリエさんがシンセ位置に居ながら始まったのがファン投票1位になった「SAD AND BEAUTIFUL WORLD」です。このまま、しっとりと歌い上げるのかと思いきや、急加速から原曲以上のエモい展開に。このあたりにもOJの加入というのがプラスに働いているように思います。
同じアルバム「TITLE」に収録されている「AGAINST THE WALL」が入り場を落ち着かせたようにも思いましたが、この後この日の最高潮が訪れることになります。

第5ブロック

21 From Noon Till Dawn
22 BERSERKER TUNE
23 YES,SIR
MC:「あんなん八百長だからね」

会場全体が一番熱くなったブロック。
わずか3曲に今日1日の半分くらいのエネルギーが消化したような圧倒的な熱量をもって演奏された3曲。
From Noon Till Dawn」の興奮冷めやらぬ(むしろ、シンペイさんの呼吸が整っていない)うちに「日本武道館のバーサーカーに捧ぐ!!」と、いつもの前口上から始まった「BERSERKER TUNE」はいつもよりも早い。いや、この状況で平常心ではいられるわけがない。そんな感じである。間髪入れずにブルースハープの音色が聞こえてくる。そしてホリエさんの紹介「on ハーモニカ OJ from Gunma」(ソイルの2人と田中さんを紹介したフレーズを使いまわしたわけだけど、from群馬って)がエモいかどうかは別として3段ロケットの秘密兵器として「YES,SIR」が見事なまでに痛快に突き抜けていきました。私の記憶では「YES,SIR」はランク外ではなく、投票できない曲(「Early Years」収録曲など)だったと思います。なので、全部で31曲になりました。
なんで、「YES,SIR」を演奏したのかは存じていないので知っている方は教えてください。

第6ブロック

24 羊の群れは丘を登る
25 REMINDER
26 MARCH

本編の最終ブロック。ライブでも終盤を務めるような曲ががっちりと固めています。
全体を通してセトリのバランスが良いです。それは最後にセトリを見た時に、こうやって改まって見直した時に全体のメリハリのつけ方が実にストレイテナーらしい感じです。

そんな中で当時はまだ新人だった「羊の群れは丘を登る」からベテランといっても過言ではない「REMINDER」へと流れていく。まさに終わりが近づいている状況です。
それに加えて2009年の武道館でも本編最後に演奏された「MARCH」が流れ本編終了。

まだ30曲やったわけではないのでアンコールを待ちつつのしばし休憩。

ちなみに、2DVDに関して触れるとここで1枚目が終わります。
アンコールから2枚目が始まります。

第7ブロック(アンコール)

27 SILVER STAR
28 MAGIC WORDS
29 ネクサス
30 Melodic Storm

誰もがこのブロックは記憶に残る演出だったと振り返ります。
このブロックは10数年のストレイテナーの軌跡を3曲で振り返っていきます。
最初に話した通り、ストレイテナーは数年毎にメンバーを増やし音楽の幅を広げていきました。

最初は2人で、2人の限界を模索するように奏でていました。そして、10年以上振りとなる2人での演奏、「SILVER STAR」。アンコールのために舞台に戻ってきたのが最初、ホリエさんとシンペイさんで、後から他の2人も出てくるのだろうと考えている間に2人だけでスタンバイ。会場がどよめきました。噂には聞いていたけれども、半分くらいの人は2人で演奏しているストレイテナーは見たことが無かったのではないでしょうか?もはや幻のストレイテナー。

続く、「MAGIC WORDS」。3人時代のアンコールの定番曲。そうそう、シンペイさんがこの頃はよく客席にダイブしていたと聞きます。『LINEAR MOTOR CITY』では、戻ってくるまでの数分間をホリエさんとひなっちでカバーしていましたね。懐かしいですね。

そして、最後に前日に美容室に行ったOJが登場。「ネクサス」はOJが加入してから初めてのアルバム「Nexus」の最後を飾った曲です。その中の歌詞で

僕らはたまたま同じ船に
乗り合わせただけの赤の他人じゃないのさ
わかっていたんだ

と、あります。ひなっちとOJは元々はART-SCHOOLのメンバーでした。いつだったかのストレイテナーとART-SCHOOLが対バン形式で回ったツアー中。移動は車で行っていましたがテナー車に、ひなっちとOJが乗り込んできたことがあったそうです。その瞬間を思い描いたときにこの歌詞がまさに合致してNexus=つながりを想起させます。

そこから、おなじみのメンバー紹介を挟んでの「Melodic Storm」。
ライブでセトリの前半に演奏される時もありますが、やはり終盤にどっしりと構えている「Melodic Storm」の方がかっこいいですよね。

第8ブロック(ダブルアンコール)

31 ROCKSTEADY

最後の最後に「31曲目、第3位の曲」として演奏が始まったのが「ROCKSTEADY」でした。
10周年よりも前の時代からみんなに愛されて、20周年を超えた今でもこの曲のイントロが流れ始めればファンが沸く。絶対的な定番曲を最後に持ってきての終演となりました。

第9ブロック

話はまだ続きます。
と、いうのもライブ映像が終わらないからです。

ダブルアンコールが終わってもなお客席が2回どよめきました。

セットリストファン投票結果と全国47都道府県ツアーの発表がスクリーンに映し出されたからです。

【セットリストファン投票結果】

さて、先に語るのはファン投票結果です。
この日の発表は当然、下位=50位からの発表です。
他のサイトではやっていない順番で掲載します。

50.SILLY PARADE
49.MOTIONS
48.VANISH
47.Little Miss WeeKend
46.TODAY
45.THE Nowarist
44.TENDER
43.SIX DAY WONDER
42.プレアデス
41.CLONE
40.瞬きをしない猫
39.TRAIN
38.イノセント
37.DONKEY BOOGIE DODO(19位 18 down
36.PLAY THE STAR GUITAR(21位 15 down
35.泳ぐ鳥(17位 18 down
34.NEVERLAND(28位 6 down
33.POSTMODERN(14位 19 down
32.THE MAN WITH A SILVER GUN
31.REST
30.羊の群れは丘を登る
29.TRAVELLING GARGOYLE(15位 14 down
28.ネクサス
27.星の夢(13位 14 down
26.Discograhy(16位 10 down
25.The Novemberist(26位 1 up
24.Lightning(20位 4 down
23.MARCH(22位 1 down
22.Toneless Twilight(18位 4 down
21.BERSERKER TUNE
20.MAGIC WORDS(27位 7 up
19.COLD SLEEP(23位 4 up
18.Man-like creatures
17.KILLER TUNE
16.Dive(8位 8 down
15.シンクロ(9位 6 down
14.AGAINST THE WALL(11位 3 down
13.LEAP IN THE DARK(10位 3 down
12.Sunny Suicide(29位 17 up
11.Ark(25位 14 up
10.Melodic Storm(12位 2 up
9.SILVER STAR(6位 3 down
8.Farewell Dear Deadman(30位 22 up
7.GUNSHIPRIDER(7位 stay)
6.ETERNAL(24位 18 up
5.WHITE ROOM BLACK STAR
4.From Noon Till Dawn
3.ROCKSTEADY
2.REMINDER
1.SAD AND BEAUTIFUL WORLD

50位から31位のこの日演奏されなかった曲に関しては、スクリーンに映し出されるたびに悲鳴にも似た歓声が沸き起こりました。
ライブの定番曲、故に新鮮さを求めるファンから票を集めることができなかったのか…。

ランキングのカッコ内の数字は中間発表時の順位です。
この時は30位~6位までしか発表されていませんでした。

ですがこうしてランキングを見てみると「Farewell Dear Deadman」が30位から怒涛の22ランクアップを見せていますが、ランク外からTOP5に組み込むことはできていないと思います。
多少の順位変動はあったかと思いますが、この時の1位~5位に変更はなかったものと思われます。

私が個人的に面白いと思ったのは、「KILLER TUNE」と「BERSERKER TUNE」です。「Man-like creatures」を含めてもいいのですが、中間発表では名前がありませんでした。おそらく、『みんなが入れるから大丈夫だろう』と思われていた曲ではないかと思われます。そのため最後の追い上げでランキングに入ったものと思われます。

そして、この時30位に入れなかった曲たちの逆襲が2018年に行われることはまだ誰も知らないのです。

全国47都道府県ツアーの発表

50曲のランキング発表に続き、47都道府県ツアーが告知されました。この日は全国からテナーファンが集まっていたこともありそれぞれの会場が出てくるたびにそれなりの反応がありましたが、やはり関東ブロックの発表、特に後半戦1発目の「千葉 LOOK」あたりでの歓声が一際大きくなります。

「21st CENTURY ROCK BAND TOUR」
5月 8日(水)東京 渋谷 クラブクアトロ
5月10日(金)栃木 HEAVEN’S ROCK 宇都宮 VJ-2
5月11日(土)群馬 高崎 club FLEEZ
5月16日(木)山梨 甲府 CONVICTION
5月18日(土)長野 CLUB JUNK BOX
5月19日(日)富山 CLUB MAIRO
5月23日(木)岐阜 CLUB ROOTS
5月24日(金)京都 MUSE
5月26日(日)奈良 NEVERLAND
5月28日(火)三重 松阪M’AXA
6月 1日(土)徳島 club GRIND HOUSE
6月 2日(日)高知 X-pt.
6月 4日(火)岡山 CRAZYMAMA KINGDOM
6月 6日(木)宮崎 SR-BOX
6月 8日(土)大分 DRUM Be-0
6月 9日(日)熊本 DRUM Be-9 V1
6月11日(火)佐賀 GEILS
6月15日(土)島根 松江 AZTiC canova
6月16日(日)山口 周南 TIKI-TA
6月20日(木)福島 郡山 CLUB#9
6月21日(金)宮城 石巻 BLUE RESISTANCE
6月23日(日)山形 SESSION
6月25日(火)秋田 Club SWINDLE
6月27日(木)北海道 函館 club COCOA
6月29日(土)北海道 旭川 CASINO DRIVE
9月28日(土)千葉 LOOK
9月29日(日)神奈川 横浜 BLITZ
10月11日(金)茨城 水戸 LIGHT HOUSE
10月13日(日)埼玉 HEAVEN’S ROCK さいたま新都心 VJ-3
10月14日(月・祝)新潟 LOTS
10月16日(水)石川 金沢 Eight Hall
10月18日(金)福井 CHOP
10月19日(土)兵庫 神戸 VARIT.
10月21日(月)和歌山 CLUB GATE
10月24日(木)岩手 宮古 KLUB COUNTER ACTION MIYAKO
10月25日(金)岩手 大船渡 LIVEHOUSE FREAKS
10月27日(日)青森 Quarter
10月29日(火)北海道 札幌 ペニーレーン24
11月 1日(金)静岡 浜松 Live House窓枠
11月 2日(土)滋賀 U★STONE
11月 4日(月祝)鳥取 米子 AZTiC laughs
11月 9日(土)香川 高松 DIME
11月10日(日)愛媛 松山 サロンキティ
11月16日(土)大阪 なんばHatch
11月17日(日)福岡 DRUM LOGOS
11月19日(火)鹿児島 CAPARVO HALL
11月20日(水)長崎 DRUM Be-7
11月22日(金)広島 クラブクアトロ
11月24日(日)愛知 Zepp Nagoya
11月29日(金)宮城 仙台 Rensa
12月 1日(日)東京 新木場 STUDIO COAST
12月 7日(土)沖縄 桜坂セントラル

まとめ

ものすごい文字数で語ってきた『21ST CENTURY ROCK BAND (10th Anniversary Edition盤)』。結局のところ、ライブの中身を伝えてしまいましたが、最後にCD(DVD)としてすごいところをお話して最後といたします。

と、いうのもライブ自体が行われたのは2月17日でしたが、ベストアルバムのCD(DVD)発売日は5月1日でした。
映像作品でここまで早く発表されるものはなかなかありません。
映像編集に携わっていただいたスタッフの方に感謝です。

さて、私自身のテナー愛を語るだけ語って終わりますが、これを書くに当たって同じような記事を書いている人がいるかそれとなく見ていたのですが、2月17日のライブについて感慨深くつづられている方は少なくありませんでした。かくいう私もこの度その中の一人に入りました。

そして、この話は先ほども書きましたが2018年のファンが選ぶベストアルバム。つまりは第2回ファン投票へと続いているのでした。

そこまで2020年現在のテナーを知りながら、俯瞰のような形で2013年のストレイテナーを見ると2009年の武道館とは明らかに違うのです。
それは、曲に込められた想いや武道館公演に臨む意気込みが違うと言えるのかもしれません。

どのバンドにも、ファンが大切にしている曲がありますが、武道館にて30曲演奏しきったファンサービスはファンにとってもかけがえのない時間だったかと思います。

ライブ中にホリエさんは「サービス精神があんまない」と言っていましたが、ライブバンドとしての実力を上げていき「今、もっともチケットが取れないバンド」としてMステで紹介されるまでになりました。「サービス」の捉え方は人それぞれ違うかもしれませんが、コロナの影響でライブが全く行われない今、ライブハウスでライブを行うことこそが愚直なまでの「サービス」だったのではないでしょうか。だからこそ、ライブに対して、ファンに対して誠心誠意伝えてきたあなたたちだからこそ、ファンは付いてきました。それは今も変わることはありません。

ここからは私見ですが、「ストレイテナーが一番好きだ」と答える方はドームツアー等を回る他のバンドよりかはいくらか人数が減るかと思いますが、「フェスでテナーがやっていたら見に行く」と答える方は多いはずです。誰かの1番ではないものの誰かの心の中には存在しているストレイテナー。それはストレイテナーが持つ楽曲の多面性、懐の深さが見せる優しさで、『それでいいよ』と後押ししてくれる包容力。そんな曲が昔から今も演奏しているのがストレイテナーではないでしょうか?

 

コメント

  1. […] 今さらだけど、2013年のテナー武道館公演(ベスト盤の付録DVD)について語ろう 今回のお話は、私をライブに行かないと生きていけない体にした(?)影響度トップクラスのストレイテ […]

タイトルとURLをコピーしました